62中島潔の絵画展


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 昭和の時代に野辺で戯れる童の姿を描いてきた、「風の画家」といわれる、中島潔展覧会にいってきました。中島潔は、よくNHKの番組で作品が登場していますね。あどけない子供達がとっても可愛らしくって、ほのぼのした作品を多く描いています。

「風の画家」と言われるのは、描く絵の一貫したテーマが、「風が吹いている情景」だからでしょうね。画面では必ず何かが風にたなびいています。それは、女の子の着物の裾だったり、男の子のもつ釣竿の糸だったり、儚げな女性の髪の毛、時には小指に巻かれた赤い糸だったり…。描かれる人物のあどけなさとは裏腹に、風にたなびいている物に何らかの情が描かれているようです。

いったいその風は、何処へ向かっているのだろうかと思いをめぐらせ、自分の記憶の中に吹く「想いの風」を重ね合あわす。観る人にそんな繊細な感情の動きを起こさせる、魅力のある作品でした。

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花が多く描かれているのも印象的でした。蓮華や菜の花、朝顔や夕顔。コスモス。どれも風に揺れる日本の野に咲く花たち。岩手では「野の花」を描いた深沢紅子が有名ですが、それに相通じるような可憐で繊細で、でもどこか力づよい生命力に満ちた花たちです。

ノスタルジックな架空の地名が題材になっている作品も。朽ち果てた橋の欄干のプレートや、古びてひしゃげたバス停など、そこに作品と同じ地名が記されていることも… 作品のタイトルがその画面の構成要素になっているのも、まるで絵本の中の一場面のようです。

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源氏物語を描いた作品も多くありました。絵巻物に出てくるようなタッチで描かれた作品です。それが繊細な中島潔の作風に合っていて、彼の描く「情の風」の世界から導かれるように古典の世界に昇華していった、そんな印象を受けました。

源氏物語は大和和紀の「あさきゆめみし」でストーリーを知っていたので、「桐壺の更衣」「葵の上」「末摘花」「六条の御息所」などなど、出てくるたびに、おお〜と感嘆して、見入っておりました。また読みたくなりました。

ところで、みなさんは「うめ吉」という犬のぬいぐるみを知っていますか?二十年ぐらい前に人気があった、ベージュのボディーに赤いロープのような首輪が付いている子犬のかわいいぬいぐるみなんです。私は初めて知ったんですが、それが中島潔の絵に出で来る子犬をキャラクターにしたものだったんですよ。今回の絵の中で元気に走りまわっている「うめ吉」がたくさんおりました。会場には「中島潔グッツ」の中に、ぬいぐるみの「うめ吉」が売ってましたやっぱりあの時の「うめ吉」のまま。発売されてからだいぶ経つのに、根強い人気があります。

この中島潔の絵画展は、岩手県民会館の展示室で2月3日までやってます。入場料は大人1000円、子供600円です。お子さんも好きな可愛らしい絵がいっぱいありますよ。親子で楽しめる絵画展ですので、ぜひどぞ。お薦めしますよ