『アビー・ロード』(Abbey Road)は、1969年9月26日、
イギリスで発売された、ビートルズの12作目の
オリジナル・アルバム。
ビートルズの解散が意識される状況で作られた。

この頃のビートルズは、それぞれがソロ活動を始めたり、
ジョンに対するオノ・ヨーコの影響が強くなり、
求める物がそれぞれバラバラだったようだ。

ジョンが以前のように、ポールとの曲作りを
あまり望まなくなっていたから、ポールから
『昔のような曲作りをして、アルバムをつくりたい』と
話が出て実現したらしい。
彼にとっては、ジョンと一緒に曲を作ること、
それこそがビートルズの存在価になっていたのだと思う。
ポールは『気持ちはわかった。でも、一緒にやれる
可能性はまだあるのだから、原点に返って
自分達にとっての
ビートルズ
を確かめてみたい』って
思ったに違いない。
そう、やり直せるという淡い期待をもちながら。

 
このアルバムの評価は事のほか高く、
ローリングストーン誌は本作のB面のみで、
『サージェント・ペパーズ〜』に匹敵すると好評した。
事実アメリカだけで1,200万枚以上のセールスを記録。
全世界では2,900万枚以上のセールスを記録している。
しかし、高い評価、ポールの思いはとまったく裏腹に、
『アビー・ロード』は、残念ながらビートルズの事実上の
ラスト・アルバムとなってしまった。
亀裂の入った器からこぼれた水は、
終に戻ることが無かったのだ。


本作で際立つのは、なんと言ってもB面の
Golden slumbers
Carry that weight
The End
』のメドレー。
このB面のメドレーについて、ポールとリンゴは
「B面のメドレーは僕らの最高傑作のひとつ」といっている。
ジョンは「A面は良いけどB面はちょっとね。
あれはジャンク(ガラクタ)を集めただけだと思うよ」と
ちょっとシニカル。
聞いてみれば、たしかに別々の曲のサビだけを
つなげた感じもする。
しかしながら、ポール達が言っているように、
それはそれで不思議なまとまりを持って、
リスナーを引き付ける魅力があるように思える。


今公開されている 『ゴールデンスランバー』という
話題の日本映画。

主題歌はこの『Golden slumbers』が歌われている。


私もビートルズのアルバムでは『アビーロード』が
一番好きで、このB面のメドレーは特にカッコいい
聞かせるナンバーだと思う。

Golden slumbers』は、古い子守唄の詩をもとに
ポールが作曲し、男性的な哀愁漂うバラード。
大人のララバイといったところだろうか。


お気に入りは、次ぎに続く「
Carry that weight」の
Boy, you're gonna carry that weight
    Carry that weight, a long time”というフレーズだ。

私的に訳すと
いいかボーズ お前はその重荷を背負っていくんだ 
これから長い間ずっと
”となる。

一番の盛り上がりを見せるこの部分は、
全員が“
Boy, you're gonna carry that weight
            Carry that weight, a long time”
何回も大声でこの歌詞を叫ぶ。

“いろいろ背負って頑張ってる人”は、
自分の生き様に重ねて聞いていることもあるだろう。


実際、ポールはこの「背負うこと」という歌詞に、
自分の背負った責任の重さを重ねている。
ブライアンが亡くなってから、ビートルズのマネージメントの
実務はほぼポールが仕切ることになった。
当時レコード会社のアップルは、右肩下がりの
経営状態が続き、看板アーティストのビートルズが
その存亡の鍵を握っていた。
そのビートルズも今や風前の灯。
ポールにしてみれば、レコード会社の運命も
その肩にかかり、遣る瀬ない心境だったに違いない。


この曲の間奏部に(?),同じアルバムのB面の曲
You never give me your money”のフレーズが入る。
それがまた、イイ。この曲にさらに深みを与えているのだ。
“背負って走りきったあとには、何かが待っている!”と
希望を与えてくれているよう。それもダイレクトな
言い回しではなく、裏に隠れたその部分を見つけてくれと
囁いているよう仕掛けになっている。

本編の
You never give me your money自体の
エンディングには
無垢な子供を諭すような、
 “
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 All good children go to heaven

“いい子はみんな天国へ行ける”という部分がある。
Carry that weight
」の後に入るフレーズには
それが入ってはいないが、曲の冒頭部を入れることで
印象的なその部分を連想させる作りになっているのだ。

小説『ゴールデンスランバー』には、物語の最後に
“大変良くできました”という下りが出てくる。
まさに、B面メドレーに隠された、その部分のことを
言い表したいのではないかと思わせてくれる。
そこが、ビートルズファンにとっては嬉しいのだ。
(もっともすべてのファンが“荷物を背負ったあとは、
いい子はすべて〜”と思っているわけではない。)

でもあまり、ビートルズに絡めて
『ゴールデンスランバー』を読むと、期待が外れて
ガッカリするらしいので、読む時は、純粋に
スリリングなストーリーを味わうようにしたいものだ。

わははっ 実はまだ読んでなんだけどね〜


と、いうことで今日も会社帰りのクルマの中で
Boy, you're gonna carry that weight 
            Carry that weight, a long time
 
1, 2, 3, 4, 5, 6, 7 All good children go to heaven

歌って、気持ちよく明日の仕事の段取りを考えるのだ。

 

 

以下はアビーロードB面のメドレーの歌詞

 

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